インプラントの寿命は何年?長持ちさせるためのポイント

「費用をかけてインプラントにしても、何年かでダメになってしまうのでは」と不安に感じている方は少なくありません。インプラントは顎の骨に人工の歯根を埋め込む治療で、適切なケアを続ければ長く使える一方、「一度入れれば何もしなくても一生もつ」ものではありません。この記事では、インプラントの寿命の目安、寿命を縮める原因、交換が必要なサインと交換時の流れ・費用、長持ちさせるための習慣を解説します。
インプラントの寿命は、一般的に10年以上が目安とされています。治療から10年後もインプラントが機能している割合は高いと報告されており、20年、30年と使い続けている方も珍しくありません。ただし、これはあくまで平均的な目安で、お口の状態や生活習慣、治療後のケアによって大きく変わります。
寿命を考えるときは、インプラントを「骨に埋まった人工歯根(インプラント体)」「歯根と人工の歯をつなぐ部品(アバットメント)」「上にかぶせる人工の歯(上部構造)」の3つに分けて考えると分かりやすくなります。骨と結合したインプラント体は長期間もつことが多い一方、人工の歯は毎日の噛む力で少しずつすり減ったり欠けたりするため、インプラント体より先に作り直しが必要になることがあります。人工の歯の交換で済むのか、インプラント体からやり直すのかによって、必要な処置も費用も大きく変わります。

歯を失ったときの治療は、インプラントのほかに入れ歯とブリッジの2つが代表的です。それぞれの寿命は使い方によって差がありますが、一般的な目安は次のように整理できます。
ブリッジは両隣の歯を削って土台にし、橋渡しのように人工の歯を固定する治療です。寿命は7〜8年程度が目安とされ、土台の歯が虫歯や歯周病になると、ブリッジごと作り直しが必要になります。支えている歯に負担がかかり続ける点も、長期的に見たときの注意点です。
部分入れ歯・総入れ歯は4〜5年程度で作り直しや調整が必要になることが多いとされています。顎の骨や歯ぐきは時間とともに痩せていくため、入れ歯が合わなくなり、ゆるみや痛みにつながることがあります。
インプラントは周りの歯を削らずに済み、骨に固定されるため、ほかの治療法と比べて長く使える可能性があります。とはいえ、ケアを怠ればインプラントでも早期にトラブルが起こり得るため、「長持ちしやすい条件を整えた場合の治療法」と理解しておくと判断を誤りません。入れ歯が合わずにお悩みの方には、少ない本数のインプラントで入れ歯を固定するインプラントオーバーデンチャーという選択肢もあります。
インプラントが予定より早くダメになってしまうケースで、よく見られる原因は次の4つです。原因ごとに対策が異なるため、代表的なものを順に説明します。
インプラントを失う原因として特に多いのが、インプラントの周りの歯ぐきや骨に細菌が感染して炎症が起こる「インプラント周囲炎」です。天然の歯の歯周病にあたる病気で、進行するとインプラントを支える骨が溶け、ぐらつきや脱落につながります。初期は痛みが少なく気づきにくいため、症状が出たときにはかなり進んでいることも珍しくありません。
天然の歯には、歯と骨の間にクッションの役割をする組織(歯根膜)がありますが、インプラントにはこれがありません。そのため、歯ぎしりや食いしばりの強い力、噛み合わせのずれによる偏った力が直接インプラントにかかり、人工の歯が欠けたり、内部の部品がゆるんだり壊れたりする原因になります。
喫煙は血流を悪くし、歯ぐきや骨の治りを妨げるため、インプラント周囲炎のリスクを高めるとされています。また、血糖値のコントロールが不十分な糖尿病などの持病も、感染への抵抗力や骨の状態に影響を及ぼす要因です。持病のある方は、主治医の治療を続けながら、服用中のお薬や検査値を歯科にも共有してください。
骨の量や噛み合わせを十分に診断しないまま治療を行うと、インプラントの位置や角度、本数が適切でなく、一部に負担が集中して長持ちしにくくなる場合があります。当院では立体的に骨の状態を確認できるCTの検査をもとに、顔貌や顎関節、噛み合わせまで含めて治療計画を立てています。
インプラントの不具合は、早めに気づけば部品の交換など小さな処置で済むケースも少なくありません。次のような変化がある場合は、寿命やトラブルのサインの可能性があります。
なかでも「ぐらつき」は、インプラント周囲炎が進んで骨が溶けている場合と、部品がゆるんでいるだけの場合があり、見た目だけでは区別がつきません。痛みがなくても、いつもと違うと感じたら早めに診察を受けてください。
不具合を抱えたまま使い続けると、インプラント周囲炎で骨が溶ける範囲が広がり、隣の歯や噛み合わせのバランスにも影響が及びます。骨が大きく失われてからでは、骨を増やす処置が必要になったり、再治療の方法が限られたりと、治療期間も費用も膨らみやすくなる点に注意が必要です。
寿命が来たり不具合が起きたりしたインプラントでも、状態によっては交換や再治療で再び噛める状態を目指せます。どこまでやり直すかによって、処置の内容と期間が変わります。
インプラント体と骨の結合に問題がなく、人工の歯の破損や部品のゆるみが原因であれば、上部の交換や修理で対応できることがあります。外科処置が不要なため、比較的短い期間で治療を終えられるケースです。当院の上部構造(人工の歯)の費用は、10万〜15万円(税込)が目安です。
インプラント周囲炎で骨が溶けている場合などは、不具合のあるインプラントを取り除き、骨の回復を待ってから新しいインプラントを入れ直します。撤去後の骨の治りに2〜3か月、新しいインプラントが骨と結合するまでにさらに3か月〜半年ほどかかるため、全体で半年〜1年程度が目安です。
費用は、当院の場合インプラント1本あたり40万〜46万円(税込)に加え、骨が不足していれば骨を増やす処置(骨造成)として5万〜25万円程度、さらに古いインプラントの撤去費用が別途かかります。お口の状態で総額は大きく変わるため、精密検査の後にお見積もりをご提示する流れです。他院で入れたインプラントの不具合については、過去のインプラントの不具合およびリカバリー治療のページで詳しく説明しています。
インプラントの手術には、出血・腫れ・痛み・内出血・神経の麻痺・インプラントや人工の歯の脱落や破損・インプラント周囲炎などのリスクがあります。再治療では骨の状態がより厳しいことも多いため、治療前に検査結果をもとに十分な説明を受けることが欠かせません。
インプラントの寿命を延ばすうえで、患者様ご自身の毎日のケアと、歯科医院での定期的なチェックの両方が欠かせません。
インプラントは虫歯にはなりませんが、周りの歯ぐきは細菌の影響を受けます。歯ブラシに加えて、歯間ブラシやデンタルフロスでインプラントと歯ぐきの境目の汚れを落とすことが、インプラント周囲炎の予防の基本です。人工の歯の形によって使いやすい道具が異なるため、清掃方法は治療後に確認しておきましょう。
セルフケアだけでは落としきれない汚れの除去や、噛み合わせ・部品のゆるみ・骨の状態のチェックは、歯科医院でのメンテナンスで行います。頻度はお口の状態によって異なりますが、3〜6か月に1回程度が一般的な目安です。当院では、治療後のメンテナンスも院長自らが担当し、状態の変化に早めに対応できる体制をとっています。
歯ぎしりや食いしばりがある方は、就寝中にマウスピースを使うことで、インプラントや人工の歯にかかる負担を和らげられる場合があります。喫煙されている方は、禁煙や本数を減らすことも、インプラントを長く使ううえで意味のある取り組みです。
保証の有無や期間、条件は歯科医院によって異なります。当院では、インプラント体は10年、人工の歯などの技工物は5年の保証制度を設けています(定期メンテナンスの受診などの条件があります)。詳しい条件はカウンセリングの際にご説明します。
当院では、他院で治療したインプラントのぐらつきや痛み、人工の歯の破損などのご相談にも対応しています。ただし、前の医院の保証制度は転院先に引き継げないため、再治療の費用は全額自己負担になる点にご注意ください。
年齢そのものよりも、骨の状態や全身の健康状態、メンテナンスに通えるかどうかが大きく関わります。持病や服用中のお薬がある方は、検査の際にお知らせください。そのうえで治療が可能か、どのような方法が合うかを判断します。
インプラントを長く使えるかどうかは、治療前の診断と計画、そして治療後のメンテナンスの積み重ねで決まります。当院は御堂筋線「心斎橋駅」「なんば駅」から徒歩5分のインプラント専門クリニックで、院長はAAID(アメリカインプラント学会)認定のアソシエイトフェローとして27年以上・累計13,000本以上の治療に携わってきました。これからインプラントを検討している方も、今のインプラントに不安を感じている方も、無料カウンセリングでCTの検査データをもとにお口の状態と選択肢をお伝えします。お電話またはWEB予約からお気軽にご相談ください。
オオタニデンタルクリニック 院長
大谷 昌
