Case004 上顎右1番

60歳男性です。北陸から大阪へ転勤で来られました。
北陸の主治医からのご紹介で、インプラント治療のために来院されました。

上の右側、中央から1番目の歯が歯根破折(歯の根っこが折れたり割れた状態)でした。
折れてできたすき間に細菌が入り込むと治療は不可能なため、歯根破折した歯は抜くしか選択肢はありません。

下がってしまっている歯肉をできるだけ元の位置に戻すため、残っている根の部分を矯正技術により引き出して削り整えます。
こうすることで、歯肉の組織が再び成長してきます。歯肉の成長後、この残っている根の部分を抜歯し、インプラントを埋入します。

インプラントがいつまでも長持ちするためには、インプラント周囲の歯肉の量を十分確保することが必要です。そのために、上あご部分の歯肉を移植しました。インプラントと骨を結合させる間は歯肉の下にインプラントが埋まった状態です。
この期間が過ぎると、インプラントとかぶせ物を結合できるようにするため、インプラントの頭部を外に出します。インプラントの両隣りの歯は、虫歯を除去した後、かぶせ物の土台(コア)を装着しました。

歯肉の形態や、歯と歯肉の境目の状態などを安定させるため、精密な仮歯を装着します。

この段階で歯型を採取します。インプラントとかぶせ物をつなぐ部分(アバットメント)にはジルコニアを使用しました。

最終のかぶせ物を装着しました。

治療前・後の写真です。下がっていた歯肉も元に戻すことができました。
歯だけでなく歯肉を健全な状態に回復することで、見た目も自然で美しく、虫歯や歯周病になりにくい状態を維持することができます。